見学 小柏研究室

2025/10/10

風の丘葬斎場(大分県中津市)見学

文責:齋幹尚(修士2年)

 

風の丘葬斎場

 

設計: 槇総合計画事務所

構造: 塙建築構造設計事務所

設備: 総合設備計画

ランドスケープ: ササキ・エンバイロメント・デザイン・オフィス

施工: 飛鳥建設

外構造園: 戸田建設

敷地面積: 33,316.85m2

建築面積: 2,514.50m2

延床面積: 2,259.88m2

階数: 地上2階建

構造: 鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造(待合棟屋根)

工期: 1995年3月〜1997年2月

所在地: 大分県中津市相原3032-16

 

 

 

風の丘という名前は設計者が考えた。風が透き通るような丘に葬斎場が建っている。この地には、3世紀ごろの古墳跡が発見されている。

鉢状の楕円の広場によって隠れるようにし、建物の高さが小さくなるように工夫されている。その空間に違和感なく建てられているため、子供が建物を気にすることなく遊べる空間を提供してくれているように感じる。

 

 

玄関の動線は、入り口までまっすぐ導かれる。派手な装飾がなく、シンプルなデザインは、人々の心を整理する時間を与えてくれるだろう。中庭の空間は、心を落ち着かせてくれる自然と自然光を取り入れられるようになっている。

 

 

建物内は、直接光を設けず間接光を採用することで、厳かな雰囲気を醸し出し、人の心に寄り添った空間になっている。

 

 

一つ一つの部屋は、同線よりも暗い空間となっているため、その場にいる人の感情を違和感なく包みこむだろう。

 

古墳と墓地が一体になった環境に調和する、静かでのびやかな佇まいは、高宮真介 櫻井清 藤縄正俊の選評にて「古墳跡の復元の遺跡を生かしたランドスケープと建築とが一体となったオブジェのような抽象的な風景を作り出している。」と評されている。

車寄せから建物内部の移動を重視して、それぞれの空間を各々に距離を保ちながら穏やかに連結している。斎場の内部は、地窓、スリット、トップライトでの間接光によって満たされ、柔らかく、静かな空間を作り出している。

外と内、それぞれの空間において違和感を一切排除しており、人に寄り添ったランドスケープおよび空間設計となっていた。

 

 

 

参考文献

・”風の丘葬斎場”.MAKI AND ASSOCIATES.

  https://www.maki-and-associates.co.jp/projects/NAC (閲覧日2025年9月22日)

・“風の丘葬斎場”.一般社団法人 日本建設業連合会.

  https://www.nikkenren.com/kenchiku/pdf/591/0591.pdf (閲覧日2025年9月22日)

・『新建築』(新建築社,1979年12月)