見学 小柏研究室

2022/09/22

金沢21世紀美術館(石川県金沢市)見学

2022ゼミ旅行3日目_金沢21世紀美術館 見学

 

文責:森万佑子(学部4年)

 

建築概要

 金沢21世紀美術館は、現代美術を収蔵した公立美術館であり、設計は競技で選ばれた西沢立衛と妹島和世(SANAA)が担当しました。「新しい文化の想像」と「新たなまちの賑わいの創出」という目的のもとに2004年に開館したこの美術館は、現在も多くの来場者数を誇ります。

 21世紀という大きな歴史の転換点の中で、新しい美術館としてのあり方や新たなまちづくりへの対応に対する工夫などが建物にも様々に現れています。例えば、外観を特徴づける円形のデザインもコンセプトの一つであり、三方の出入り口のどこからでも人々が訪れることができ、裏表のない形状により街との一体感を生み出しています。

 

見学を通じた所見

 私たちが見学に赴いた日は展示入れ替えの時期だったため、限られた展示室しか回覧することはできませんでしたが、開館時間より前に到着し、建物自体をゆっくりと見学することができました。

 この美術館には、展示室番号はあるものの決められた順路はなく、人々は迷路のような館内を思い思いに歩き、作品と出会います。美術館の外壁だけでなく内部を仕切る壁の多くもガラス面となっており、透明感による出会いと開放感の演出も設計コンセプトの一部です。実際にこのガラス壁が多用された館内を歩くことで、明るく開放的な空間を体験でき、異なる空間にいる他人の気配を感じることができました。

さらにこの美術館は、夜間も開館している点や、入場料無しで立ち入り可能なエリアが多い点なども、まちに開かれた美術館としての魅力です。特徴的な外観に目が行きがちですが、事前に設立の目的やコンセプトなどを知り、実際の空間体験を通してこの美術館の素晴らしさに気づくことができました。この建築は単に箱物の設計だけでとどまらず、非常に広い視点から” 新しい美術館” として、地域とのつながりや展示の方向性、動線、美術館としてのシステムなどが考え抜かれ、コンセプトが綺麗に収まり、一つの建築としてうまく成功していると感じました。

 

 

参考文献・画像出典

・金沢21世紀美術館公式HP(2022年9月10日閲覧)https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=11&d=1

・〈金沢21世紀美術館〉SANAAによる、アートとまちづくりが共存する美術館(2022年9月20日閲覧)

 https://discoverjapan-web.com/article/87430