見学 小柏研究室

2023/02/20

曹源寺観音堂(群馬県太田市・国指定重要文化財)見学

文責:高橋慧(学部4年)

 

今回は見学会で訪れた曹源寺観音堂の紹介をします。

 

概要

観音堂は寛政10(1798)年に町田兵部栄清により十三年の歳月をかけて建てられました。

曹源寺観音堂は、旧正宗寺三匝堂に代表される「栄螺(さざえ)堂」と呼ばれる形式を取っています。そのため通称で「さざえ堂」と呼ばれています。

さざえ堂は、堂内を上りながら巡り、下りも同じく巡りながら降りるという形式を取ります。この形式は、名所巡礼の流行に伴い、多くの観音像を一か所に祀り、巡ることができるようにしたことに始まると言われています。観音堂には百体の観音像の写しが祀られています。観音像の上部には、実際に安置される堂の絵も見られます。

 

建築的特徴

観音堂は、二層の外観を呈しています。上層が方形造桟瓦葺きに高欄付きの縁を廻しています。下層は上層より一回り大きい平面形式と分かります。さらに下層の屋根は、上層の縁の下に火灯窓を挟んだ位置から裳階のようにして、上層の屋根より一回り大きく流しており、入母屋造の向拝も設けられています。

 

内部は三層構造になっています。前述の通り、百体の観音堂を巡りながら上り下りして一周する形式です。上りのルートと下りのルートは別々に分かれているので、参拝中にぶつかることはありません。

上下移動には昇り桟橋と階段が使用されています。

 

見学を通しての所見

曹源寺について、見学会のメンバーは「なんか、普通の本堂みたい」と言っていました。想像していたさざえ堂とは異なり正方形の平面でしたが、いざ内部に入ると、さざえ堂ならではの、堂内を縦横に巡る楽しさが味わえました。

 

 

記事を書くにあたり参照した資料

・祥寿山 曹源寺『日本三堂さざえ堂』(曹源寺パンフレット)

・文化庁 歴史的建造物調査研究会編著『建物の見方・しらべ方 江戸時代の寺院と神社』,株式会社ぎょうせい,1994