見学 小柏研究室

2023/08/09

白河小峰城(福島県白河市・国指定史跡)見学

文責:鎌田真聡(学部4年)

 

概要

名称:白河小峰城跡

所在地:福島県小峰郡小峰ヶ丘

構造形式:悌郭式平山城

天守形態:複合式層塔型三重三階櫓(復元)

 

沿革

 白河小峰城は、結城親朝によって1340年頃に築城されました。その後、永正年間(1504~1520年)以降小峰氏として、白河結城家の本城として天正18年(1590年)、豊臣秀吉によって所領が没収されるまで存続していました。以後、会津領として蒲生家、上杉家が城代を置き統治していましたが、1627年に初代白河藩として丹羽長重が入封、城郭の大改修を行ったことで現在見られる形へと改築されています。

 白河藩は丹羽長重以降、7家21代にわたり領有されましたが、1866年より幕領となり、1868年の戊辰戦争白川口の戦いで落城、建築物はその時大部分が焼失しています。現在では、復元三重櫓と御前御門が置かれ、総石垣造りの城郭が綺麗に残されています。

 

建築的特徴

 白河小峰城は、悌郭式平山城で、平成3年に三重櫓、平成9年に御前御門が復元されています。復元された櫓は複合式層塔型三重三階櫓、城郭自体は、三の丸外まで石垣が配され、総面積は540000haと推定されています。また、奥州白河城下全図及び白川城御櫓絵図から18の門と11の櫓が確認でき、南に大手、北に搦め手を有する配置となっています。

・復元三重櫓

 白河小峰城に復元された木造三重櫓は、日本の木造復元城郭の先駆けとなったものです。小峰城は、当時の建築基準法では建築物として復元することができなかったことから工作物として木造での建設に成功し、白河城絵図を忠実に再現した全国初の木造復元城郭となっています。

 

所見

実際に城内に入ると、想像よりも二の丸の一区画でかなり広大な敷地を有しており、石垣の積み方からも近世城郭を感じることができました。二の丸から見える総石垣造りは美しく、石垣の高さを持っていますが、本丸手前の清水門から天守までの距離が近い分、城門と曲輪配置は小さく凝縮して、コンパクトで強靭な本丸を構成していると感じました。

また、復元された三重櫓には、和釘の使用が確認でき、桁材にははつりの表現しており、木材には稲荷山の杉材が用いられ、戊辰戦争時の弾痕が確認できました。弾痕は、1.5㎝程の板を貫通していることから威力の高さを目の当たりにしました。

白河小峰城は、和釘やはつり、戊辰戦争の様子を見ることができることから視覚的な復元を意識して作られたように感じられました。

 

 

参考文献

国立公文書館デジタルアーカイブス「奥州白河城絵図」7月23日閲覧

https://www.digital.archives.go.jp/DAS/pickup/view/detail/detailArchives/0305000000_2/0000000419/00

鹿島建設「小峰城跡石垣復旧工事」7月23日閲覧

https://www.kajima.co.jp/tech/c_great_east_japan_earthquake/deconstruction/deconstruction10/

白河市公式ホームページ「小峰城跡」7月22日閲覧

https://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page001390.html