見学 小柏研究室

2024/04/28

三井寺(滋賀県大津市・国宝)見学

文責:新村恵太(学部4年)

 

三井寺金堂(国宝)

建立 慶長4(1599)年

構造形式

桁行七間 梁間七間 一重 入母屋造 檜皮葺

 

 

内部は桁行五間梁間三間の内陣と、それを回るように外陣を設ける。正面側面ともに七間で、地面から床までもかなり高いことから、写真で見るよりもかなり大きく感じた。向拝と母屋には繋梁を設けていないことから、正面一間の庇部分は軽快な印象を受けた。組物は二手先であるが、内部には斗を五段重ねることで、天井を上げる工夫が見られた。また、比叡山延暦寺の根本中堂と同様に、外陣を板敷、内陣を土間にする奈落の形式を持っており、天台宗の仏堂の特徴を見ることができた。

 

 

光浄院客殿(国宝)、光浄院庭園(国指定名勝)

建立 慶長6(1601)年

構造形式

桁行七間 梁間六間 一重 入母屋造 杮葺

 

初期の書院造の代表としてあげられる建築である。

梁間方向に二列の座敷を設け、庭園側は柱間三間の一之間と二之間、一之間から庭園側に突き出すように上段之間を設け、反対列には一之間からの武者隠しと三つの座敷を設ける。一之間は正面にトコと違い棚を設け、上段之間にもトコと付書院を設ける。座敷外は広縁と落縁を設けており、池泉を中心とした庭園を眺望できる。

庭園側の一之間と二之間は、蟻壁にすることで天井高さを上げつつ、天井部分の納まりを美しく見せていた。

寝殿造から変化をした初期の書院造ということもあり、トコの奥行きの浅さや広縁の開放的な部分が、寝殿造の名残のように思えた。

 

 

勧学院客殿(国宝)

建立 慶長5(1600)年

構造形式

桁行七間 梁間七間 一重 入母屋造 杮葺

 

光浄院客殿と同様に初期の書院造の代表としてあげられる建築である。

梁間方向に三列の座敷を設け、庭園側の列に柱間二間半の一之間と二之間、他二列に八畳の6つの座敷を設けていた。

外観の違いは光浄院との変化がほとんどなかったが、座敷配列が光浄院は二列であったのに対し、勧学院は三列であったことで、座敷の半間分のスケールの違いを感じることができた。

 

光浄院と勧学院は特別拝観の機会で見学をしたが、初期書院造の遺構として、また三井寺の金堂も桃山期の貴重な仏堂を自分の目で見ることができて、とても有意義な時間だった。

 

 

参考文献

三井寺(天台寺門宗総本山園城寺)http://www.shiga-miidera.or.jp/ 2024.3.12閲覧

滋賀県教育委員会編『国宝光浄院客殿・国宝勧学院客殿修理工事報告書』滋賀県, 1980

滋賀県教育委員会事務局文化財保護課編『国宝園城寺金堂保存修理工事報告書』滋賀県教育委員会, 2009.