見学 小柏研究室

2023/08/09

観音寺(通称:左下がり観音、福島県大沼郡会津美里町・県指定文化財)見学

文責:後藤千汰(学部4年)

 

概要

名称:会津三十三観音21番札所 左下り観音

所在地:会津美里町大石字東左下り

建築構造:三層閣の懸造り。五間四方、高さ四丈八尺、東向き。

建立:天長7年(830)に徳一大師が建立したと考えられている。

区分:県重要文化財(2014)

 

逸話

本尊のほかに石像の無頸(くびなし)観音が安置されている。

越後からの追手から逃れてきた者が、この観音堂に身を潜め、助かることを一心に観音に念じたが、追手に捉まり岩上で首を切り落とされた。追手がその首を主人へ献上したところ、首は観音の石頸の身代わりであった。首を切り落とされた観音は、その後「無頸観音」といわれ今もなおこの場所に安置されている。

 

所見

まず入り口から1,000メートルほど山道を登り、ようやく観音堂にたどり着く。

懸造り特有の岩肌に沿って建てられた迫力が確かにあった。高さが約15メートルもあるため、真下から見上げるとさらに圧倒される。

 

そこから横の狭い山道を登ると、観音堂の中にはいることができる。そして東側の廻り縁へ足を運べば、会津盆地が目に飛び込んでくる。この日は天気も良く、緑と青の絶景を眺めることができた。また真下を見下ろすと、高さが約15メートルゆえに恐怖心すら感じられた。

 

次に、今いる東面から廻り縁を通り裏側(崖側)へ向かうと、頑丈な岩肌が現れる。さらに奥へ行くと、天然の祠(崖のくぼんだ空間)に石像が安置されており、これこそ先ほど述べた首無し観音であった。赤い頭巾を被せられており、向こう側から指す光に照らされる石像たちは、いかにも秘仏の雰囲気が漂っていた。幻想的ですらあった。夏場だが、崖と建築の間で終始日陰であるこの空間は、とてもひんやりしており、静けさを感じられた。

 

 

参考文献

http://aizu33.jp/cultural_assets/287/

https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41340a/www-wakamatsu-kensetsu87.html