見学 小柏研究室

2023/08/09

喜多方市小田付(福島県喜多方市・伝統的建造物群保存地区)見学 その1

文責:梅津沙世(学部4年)

 

保存地区の概要

・名   称        喜多方市小田付(おたづき)伝統的建造物群保存地区

・面   積        約15.5ヘクタール

・選定年月日        平成30年(2018年)8月17日

・伝統的建造物(建築物)  190件(みせ、主屋、土蔵、附属屋 等)

・伝統的建造物(工作物)  25件(門、石造物、市神石 等)

・環境物件         13件(庭、樹木、水路 等)

 

沿革

小田付は喜多方市の中心市街地に位置し、天正10年(1582年)に町割が行われ近村から定期市が移された。近世には酒や味噌、醤油の醸造業も盛んになり、会津北方の交易の中心地として発展していった。江戸時代末期までに成立した道路、水路、宅地割が良く残されており、その上に店蔵など多様な土蔵等が建ち並ぶ町並みは在郷町・醸造町としての特徴的な歴史的風致を形成している。平成15年(2003)には町並みを保存しようと会津北方小田付郷町衆会が設立され、平成30年(2018)重要伝統的建造物群保存地区に選定された。

 

修理修景事業の概要

平成25年(2013)に策定されたた「小田付地区まちづくり整備計画」をもとに小田付では歴史や文化、伝統を活かしながら生活者や歩行者にとって安全・安心な道路空間を整備するため、街なみ環境整備事業を活用した消雪施設整備と無電柱化事業が実施された。また建物の修景事業にあたっては「喜多方市小田付伝統的建造物群保存地区保存計画」の修景基準に基づき、構造は木造または土蔵造、階数は2階建て以下、屋根は切妻造で金属板葺又は日本瓦葺で色彩は赤茶色とすることを原則としている。

 

所見

重要伝統的建築物群保存地区に選定されているおたづき蔵通りでは裏配線による無電柱化事業が実施されたことにより通り沿いからは電柱が見えないようになっており、それが美しい町並みの形成につながっていると感じた。またおたづき蔵通りは車の通りも少なくなかったが無電柱化により歩行者の安全が確保されており、通りをゆっくり見て回ることができた。他の重要伝統的建造物群保存地区では歩道が狭く観光客で込み合う通りなどもあるが小田付では景観維持だけでなく生活者の安全にも配慮されたまちづくりがされていた。一方で基本的な構造や棟高が統一されていたり、屋根が赤茶色に統一されていたりと美しいまちなみが維持されていた。このように小田付では歩行者の安全確保と美しい景観の維持が両立されていると感じた。

 

 

参考文献

福島県喜多方市ホームページ「喜多方市小田付伝統的建造物群保存地区について」https://www.city.kitakata.fukushima.jp/soshiki/toshiseibi/19478.html(2023年8月9日閲覧)

喜多方市教育委員会「喜多方市小田付伝統的建造物群保存地区喜多方市修理・修景デザインガイド」

文化庁 文化遺産オンライン「喜多方市小田付」https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/400468(2023年8月9日閲覧)