Architectural Anthropology/ Anthropological Architecture/ Ethnographic Architectural Study
Housing and Environmental Design Studio / Laboratory is specializing FIELD ARCHITECTURE, RE-DSIGN OF THE COMMUNITY, CONSERVATION OF CULTURAL LANDSCAPE, in School of Architecture, Shibaura Institute of Technology Tokyo. The Lab. aims at understanding interaction between architecture and human being especially focusing on vernacular ways of housing and dwelling world wide and presenting the new ways how to make use of it in the current context and for the further sustainable development of the community.
清水研究室
2018/09/04
日本建築学会/トウキョウ建築コレクション2018全国修士論文展において2018年優秀修士論文賞(日本建築学会)/青井哲人賞(審査委員長賞、トウキョウ建築コレクション)を受賞
2018年3月に修了した阿部拓也が在学中に行った研究において以下の各種を受賞をしました。
【受賞者】阿部拓也(建設工学専攻2017年度修了)
【学会・大会名(正式名称)】日本建築学会/トウキョウ建築コレクション2018全国修士論文展
【賞名】2018年優秀修士論文賞(日本建築学会)/青井哲人賞(審査委員長賞、トウキョウ建築コレクション)
【発表題目】「Licit Architecture〈道義的合法建築〉論-タイ王国バンコク都クロントイ70ライ地区を事例とした居住空間の現状および増改築による変容に関する研究」
スラムは不法、不衛生、貧困など、通常はネガティブなとらえ方をされ、また、改善すべき対象となっている。この研究の基本的立場は、東南アジア最大規模のバンコク、クロントイ・スラムを対象に、全国から集まる不特定多数の人々が日々、新しい「文化」を生み出している場としてスラムをとらえ、その文化から集住や共存のヒントを得ようとするものである。クロントイでは、ほとんどの住宅が政府の方針を逸脱した「非合法建築」である。ただし、非合法であることにも一定の基準がある。その基準となるのが、住民間に暗黙のうちに共有されている道義的合法または違法限界ともいうべきものである。この道義的限界を超えてまで-たとえば他人の敷地にまで居住空間を増大させるような-非合法かつ非道義的増築はほとんど起こらない。現代のスラムに対して国家や行政は規制を強め次々と政策を投入するばかりだが、こうした道義的合法性やその限界を知らない限り、住民がほとんど居住空間を増改築してしまう理由はわからない。
阿部は、このような刺激的かつ斬新な現代スラム論を考案した。旧態依然としたスラム観を打破し、スラムで日々生まれていく新しい価値観に着目することにより、居住空間の構成原理を正確に把握することができることを示した。この研究は、メガシティにおける高密度居住の計画論、スラムの改善論などに大きなインパクトを与えるものとなる。阿部は、現在もリクシル財団の助成金によるスラムの居住改善プロジェクトを現地NPOと協力して推進しており、今夏、実際に一棟の住宅の温熱環境の改善を目指した改修を実行した。改修設計から施工管理までの難しい局面をほぼすべてこなし、今後も同様の活動を継続する予定である。