プロジェクトデザイン研究室

2024/12/11

死者の日の祭り in 御宿

11月2日に開催された「死者の日の祭り in 御宿」に参加し、祭壇の設計を担当させていただきました。
死者の日とは、メキシコを中心に祝われる伝統的な祭りで、亡くなった家族や友人を偲び、その魂を迎え入れる大切な行事です。この祭りは毎年11月1日と2日に行われ、先祖の魂が現世に戻ってくると信じられています。悲しみに沈むのではなく、命と死を祝うポジティブなイベントであり、家族の絆を深めると同時に文化的な伝統を継承する機会でもあります

今回は、この祭りの象徴である祭壇を設計する機会をいただきました。祭壇は、亡くなった方々を敬い、魂を迎えるための特別な場所です。設計にあたり、次のような点にこだわりました。

1.実用性と継続利用
祭壇は、今年の祭りだけでなく来年以降も使用できるように、スタッキング機能を取り入れ、準備・片付け・保管が簡単になるよう工夫しました。一番大きい箱にはキャスターを取り付け、移動も容易にしました。

2.地域性の反映
現地の自然素材である竹を装飾に取り入れ、メキシコの伝統的な祭壇とは異なる「御宿らしさ」を演出しました。これは、地域とのつながりを深め、独自の魅力を祭壇に表現しました。

3.参加型のデザイン
祭壇は、訪れる方々が直接関われるよう設計しました。「故人の具現化」をコンセプトにした折り紙ワークショップでは、参加者の皆さんに自由に装飾品を作っていただき、それを祭壇に飾ることで個性あふれる空間が完成しました。

当日はあいにくの雨となり、会場は屋内に変更されましたが、多くの方々に訪れていただきました。また、「故人の具現化」というコンセプトで行った、折り紙ワークショップには幅広い年齢層の方々が参加してくださりました。
訪れた多くの方にとても興味を持っていただき、さらに、参加者同士や運営スタッフとの交流を通して、祭壇が人々をつなぐ役割を果たしていることを実感しました。

今回の経験は、1つのプロジェクトを最後まで成し遂げられたということだけでなく、「命と死」「家族や地域の絆」について深く考えるきっかけとなりました。祭壇という形を通じて、亡くなった方々を想うだけでなく、そこに集う人々が新たな思い出を作る場を提供できたことを、大変嬉しく思っています。

ワークショップ, 御宿