見学 小柏研究室
2026/04/05
神部神社(山梨県甲州市・県指定文化財)見学
文責:藏重直輝(学部4年)
神部神社本殿
山梨県甲州市塩山上萩原1415
建立年:江戸中期 指定年:平成8年(1996)
方1間 流造 檜皮葺
昭和49年の解体修理より、元亀2年(1572)、正徳元年(1711)、享保10年(1725)の3枚の棟札が発見された。
神門
正面3間側面2間、鉄板葺(瓦葺)
神部神社は、平安時代の『延喜式』にも名を連ねる古社であり、かつては境内に温泉が湧出していたことから「湯山大明神」としても親しまれた。県指定文化財である本殿は一間社流造・檜皮葺で、四面に四神の透かし彫りを施した蟇股など、細部意匠が残る建造物である。元亀2年(1571年)などの棟札が残るが、細部の特徴から現在の本殿は正徳元年(1711年)の再建と推測されている。同じく県文化財の随身門は切妻造の八脚門で、主柱を棟木まで立ち上げ、側柱と海老虹梁で繋ぐ禅宗様の架構形式が特徴である。組物に出三斗や平三斗、中備に束を用いるなど、こちらは元亀2年造営当時の古い建築様式である。
所見
本殿においては、木鼻の形状がやや長方形を呈しており、彫りも深いといった意匠的特徴が見られる。棟札には元亀2年や正徳元年など複数の建立記録が残されているが、こうした彫刻の様式からは、より新しい時代(正徳元年頃)の建築的特徴が表れている。さらに、細部の装飾に天皇家や武田家を示す家紋が確認できたことから、極めて格式の高い神社であることを感じられた。一方、随身門では、建物の規模に対して軒の出がやや小さく切り詰められている印象を受けた。その要因として、周囲に樹木が近接しているという立地条件上、物理的にこれ以上深い軒を張り出す空間的余裕がなかったのではないかと考えられる。自然環境と建築の納まりの関係性を示す実例として、興味深いものであった。
参考文献
山梨県教育委員会・甲州市・甲州市教育委員会『神部神社看板』 閲覧日2026年3月13日