見学 小柏研究室

2022/09/30

金沢城(金沢城公園)(石川県金沢市・国指定史跡/国指定重要文化財)見学

文責:山田悠太(修士2年)

 

今回は、かつて加賀藩主前田家の居城であった金沢城公園と、園内で重要文化財に指定されている石川門・三十間長屋・鶴丸倉庫についてご紹介します。

 

金沢城沿革

 加賀一向一揆で支配権を握った本願寺に天文15(1546)年に金沢御堂(尾山御坊)をこの地に建てた。天正8(1580)年、この地を攻略した佐久間盛政が城を築きましたが、その後の天正11(1583)年に盛政は豊臣秀吉に敗れ、秀吉に与した加賀初代藩主前田利家が能登から入城してさらなる本格的に城造りがなされました。

慶長7(1602)年に天守閣が落雷による火災により焼失しましたが、その後は江戸幕府への遠慮から再建されませんでした。現在、現在金沢城公園で唯一の有料施設となっている菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓は、文化5(1808)年の二の丸火災後に再建され、明治14(1881)年の火災で再び焼失し、平成13(2001)年に再建されたものです。この明治期の火災で焼失を免れた石川門・三十間長屋・鶴丸倉庫は重要文化財に指定されています。

 

重要文化財の建築的特徴

・石川門                                     

天明8(1788)年の再建です。金沢城の搦手(裏口)門で、高麗門の一の門、櫓門の二の門、続櫓と2層2階建ての石川櫓で構成された枡形門です。

石川門

 

・三十間長屋                                   

本丸附段にある2層2階の多聞櫓で、安政5(1858)年の建築です。現在の長さは26間半で、南面は入母屋造りですが、北面は土台の石組よりも外壁がさがっており、切妻造りとなっています。

三十間長屋

 

・鶴丸倉庫

嘉永元(1848)年に竣工し、明治以降は、陸軍によって被服庫として使用されました。

石版を貼った外壁など、櫓や城門などとはデザインが異なります。城郭内の土蔵としては国内最大級の遺構です。

鶴丸倉庫

 

所見

実際に園内を歩いてみると、想像よりも広大な公園であることに驚き、かつての金沢城の規模を実感することができました。時間の都合上すべて回ることは叶いませんでしたが、その気になれば一日中楽しめるほどのボリュームがありました。

平成13(2001)年に再建された菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓などは、再建から比較的日が浅いためか、姫路城のような漆喰の白さが目立ち、築城当時の雰囲気に思いを馳せることができました。一方で、石川門・三十間長屋・鶴丸倉庫といった重要文化財建造物は、落ち着いた色合いが良い対比となっていました。

また鶴丸倉庫は、腰の石張が金沢城の土蔵に見られる特徴的な技法であるということで、特に印象的だった。

 

 

参考文献

・文化庁『重要文化財金沢城石川門・三十間長屋保存修理工事報告書』(真陽社 1969年)

・「兼六園と金沢城公園」 https://kenrokuen.or.jp/kanazawajou/ (2022.09.10 閲覧)

・石川県公式ウェブサイト「金沢城公園」http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kanazawajou/kanazawa_castle/ (2022.09.10 閲覧)