見学 小柏研究室
2026/02/07
鶴林寺(兵庫県加古川市・国宝)見学
文責:藏重直輝(学部4年)
鶴林寺概要
本堂建設:応永4年(1397)
太子堂建設:天永3年(1112)
構造形式:木造
所在:兵庫県加古川市加古川町北在家424
本堂は、桁行7間、梁間6間の大規模な折衷様仏堂である。瓦による禅宗様の強い軒反りや、和様を基調としつつ全面に桟唐戸を用いた構成である。平面は、外陣内側の柱を省略し、海老虹梁で繋ぐ禅宗様の手法で広い礼拝空間を確保している。細部では、台輪を用いない点や尾垂木の形状など和様を基本とするが、柱間の藁座や隅組物の皿斗など、随所に折衷様式が見られる。
写真1 本堂全体写真
太子堂は、桁行・梁間3間の宝形造である。円柱に大斗肘木を用いた低い立面や軽快な屋根などは、平安後期の特徴を示す。内部は四天柱の内陣と、千体仏が描かれた外陣からなる。なお、手前1間分は後世の増築であり、外陣の小組格天井も当初は化粧屋根裏であった。
写真2 太子堂全体写真
所見
太子堂においては、増築された手前一間と既存の身舎との間に、明確な意匠の差異が確認できた。具体的には、虹梁や長押の不連続、円柱と角柱の使い分け、あるいは大斗肘木と舟肘木という組物形式の相違など、新旧の区別は顕著であった。また内部では、増築部との境界にある柱に、かつて外部に露出していたことによる風化の痕跡が見られた。これらの痕跡は、太子堂の増改築の変遷を実証する資料として貴重である。
写真3 太子堂の長押のズレの写真
本堂では、全面に桟唐戸を用いた開放的な構成に禅宗様の影響が見て取れる。一方で、床を張り天井を設ける和様の基本構成を持ちながら、貫や差肘木で軸部を固める大仏様の手法も取り入れられている。和様・大仏様・禅宗様の三様式がひとつの建築内でどのように共存・融合しているかを見ることができたことは、様式ごとの特徴とその折衷の過程を学ぶ上で、非常に有意義である。
写真4 本堂の差肘木の写真
参考文献
「刀田山鶴林寺」パンフレット
文化庁 『文化遺産オンライン 鶴林寺太子堂』 閲覧日2026年2月5日
2025/03/29
2025/03/27
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