見学 小柏研究室
2025/09/19
Visit Oita Art Plaza (Oita City, Oita Prefecture)
文責:叶子浩(修士1年)
竣工:1966年(改装1998年)
設計:磯崎新
構造:RC造、一部鉄骨造、地上3階建て
大分市アートプラザは、大分市出身の建築家・磯崎新によって設計され、1998年に竣工した文化施設である。白を基調とした曲線的な外観は都市の中でも強い存在感を放っており、ポストモダン以降の磯崎建築の特徴をよく示しているように感じた。単なる「美術館」ではなく、展示・交流・制作といった多様な活動を受け入れる複合的な場として計画されている点に、磯崎氏の建築思想が表れている。
エントランスホールは吹き抜けの大空間となっており、自然光を取り込みながら来館者を包み込むような開放感を持っていた。展示室では現代美術や地域作家の作品が紹介されており、空間の柔軟な構成が市民参加型の文化活動を可能にしていると感じた。建築自体が「芸術の容れ物」であると同時に、市民活動の舞台装置として機能している点が印象的であった。
2階には「磯崎新建築展」の常設展示があり、磯崎氏の代表的な作品や図面、模型、映像などがまとめられていた。海外プロジェクトを含めた膨大な仕事を一望でき、特に学生時代から国際的に活躍するまでの過程を示す資料が充実しており、建築家としての思想が時代とともに変化し続けてきたことがよく分かった。単なる設計者ではなく、批評家・思想家としての側面を持つ磯崎新を知ることができた点も貴重であった。
館内を巡ると、展示室やホールだけでなくアトリエや会議室など、多様な活動を支える諸室も備わっており、実際に市民が利用している姿も見られた。芸術を一方向的に鑑賞するだけでなく、人々が関わり合い、文化を創り出していくプロセスそのものを支える建築であることを実感した。
参考文献
大分市アートプラザ公式ウェブサイト( 2025.9.4閲覧) https://www.art-plaza.jp/