見学 小柏研究室
2025/02/23
丸亀市立猪熊源一郎美術館(香川県丸亀市)
文責:新村恵太(修士1年)
設計:谷口吉生(谷口建築設計研究所)
竣工:1991年
地下1階、地上4階、鉄骨鉄筋コンクリート造
JR丸亀駅前に位置しており、建築と美術と都市空間が一体となるように、意匠を総合的に統一することで、新しい丸亀駅前を作り出すことを設計目標としている。展示作品、展示空間、立体造形作品と公共空間、家具、備品、サインデザインまで設計し、駅前広場はランドスケープデザイナーのピーター・ウォーカーが設計した。
建築の構成は大きく4つに分かれ、
①美術館と併設された市の図書館などの全施設が入り前面に開く外殻
②美術館の展示部門が入る内側の直方体
③ ①と②の間にミュージアムホール、美術図書室、造形スタジオ、レストランなどの公共性のあるもの
④事務、管理部門を北画のブロック
となっている。
・所見
駅前広場から屋上広場へと大階段を通じて公共空間が続き、直方体の美術館のヴォリュームに対して、白い外壁が取り囲むように公共性のある空間が広がっていた。直方体のヴォリュームは美術館の機能が集中しているが、展示室上部にガラスを用いることで、都市へ視線を誘導し、閉ざされた箱から都市へと空間を拡張しているように感じられた。
建築全体として、自然光や素材の使い方が美しく、また谷口建築らしい細部の納まりもあって、非常に美しい建築であった。
参考文献
新建築社『新建築』1992 年7 月号