見学 小柏研究室

2025/02/23

旧金毘羅大芝居(香川県仲多度郡・国指定重要文化財)

文責:楊 暢(学部4年)

 

概要

旧金毘羅大芝居は、天保6年(1835)に建てられ、日本に現存する最古の劇場建築である。北正面より南背面へ、木戸、客席、舞台、楽屋の順に建物が接続して一体になった複合建造物である。

延床面積:1,161 m2(1階:850m2,2階:311 m2)

構造形式:

客席及び木戸廻り 桁行18.7m、梁間21.4m、一部二階、切妻造、妻入、正面及び側面庇付

舞台及び楽屋廻り 桁行23.6m、梁間14.0m、一部二階、入母屋造、北面客席に接続、南面庇付、奈落附属、桟瓦葺、東西便所及び楽屋便所附属

 

 

 

 

建築的特徴:

舞台中央には、直径 4 間(約 7.3 m)の円形で 回転可能な廻り舞台が設けられている。舞台や花道の下には「奈落」と呼ばれる空間があり、廻り舞台やセリ、すっぽんなどの仕掛けを操作するための場所となっている。これらの装置は現在でもすべて人力で操作されている。さらに、役者を宙に浮かせて花道の上を移動させるための仕掛けとして、「かけすじ」が用いられる。天井は竹を編んだ格子状の構造で、「ブドウ棚」と呼ばれる。ブドウ棚は、歌舞伎の演目において、役者の動きに合わせて裏方がその上を歩きながら、客席に紙吹雪などを撒くために使用される。また、提灯や暗幕などを天井から吊るす役割も担っている。

 

 

 

所見

旧金毘罗大芝居の見学を通じて、江戸時代の芝居文化が現代にも受け継がれていることを実感した。特に、当時の技術を駆使した舞台装置や、観客との距離が近い構造は、日本の伝統芸能の魅力を際立たせていると感じた。また、奈落の仕組みや回り舞台を近くに見ることで、歌舞伎や演劇の裏側にある工夫を深く理解することができた。

 

 

 

参考文献:

・こんぴら歌舞伎 オフィシャルサイト https://www.konpirakabuki.jp/history/reform.html (閲覧日2025/02/23)

・文化財建造物保存技術協会編『重要文化財旧金毘羅大芝居修理工事報告書』(香川県琴平町,1976)