見学 小柏研究室
2025/02/23
志度寺本堂(香川県さぬき市・国指定重要文化財)
文責:楊 暢(学部4年)
概要:
志度寺は、香川県さぬき市に位置する四国八十八ヶ所霊場の第八十六番札所であり、真言宗に属する。境内には、仁王門(国指定重要文化財)、五重塔、大師堂、閻魔堂、書院や無染庭などが配置されている。
志度寺本堂は、寛永十年(1670)に再建され大規模な仏堂であり、昭和58年(1983)に国の重要文化財に指定されている。伝統的な和様建築を色濃く残し、構造形式は桁行七間、梁間五間、一重、入母屋造、向拝三間、軒唐破風付、本瓦葺である。平面構成として、前面二間を外陣、その後方中央五間・三間を内陣、内陣の左右一間通りを脇陣とする。内陣中央の来迎壁前方に須弥壇と厨子を置く。
所見:
本堂は高松藩によって造営され、江戸時代中期の寺院の遺構として重要である。特に、中世以来の伝統を受け継いだ堂々とした軸部が特徴的であり、同時に近世的な細部の意匠もみられる。特に中備の人字型蟇股は独特な意匠を持ち、その装飾的な特徴は印象的であった。これは、江戸時代の職人技術の精巧さを示すものであり、見学を通じてその価値を深く実感できた。
参考文献:
・文化遺産オンラインhttps://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/202219(閲覧日2025/02/23)
・文化財建造物保存技術協会編『重要文化財志度寺本堂修理工事報告書』(志度寺,1986)