椛山研究室

2021/12/04

実験研究:減衰性能 & 仮動的実験【2021】

建築物の地震被害を防ぐためには,振動性状を精確に把握する必要がある。建築物の減衰特性は振動性状の中でも未解明な点が多い。
そこで,小型模型を対象として,減衰性能を解明するための各種実験を実施した。試験体はアルミニウム製の柱4本を鋼製床版に固定した小型模型で,建築物を1質点1自由度に縮約したモデルである。
静的載荷実験では,試験体の構造性能を確認し,自由振動実験では,固有周期と対数減衰率に基づく減衰定数を把握した。強制振動実験では,実挙動から減衰力を導き,減衰定数の評価式を提案して妥当性を検証した。仮動的実験では,地震動を入力した強制振動実験の応答を追跡することで,変位と荷重の計測誤差が実験精度に及ぼす影響を検討し,実験手法の精度向上に向けた知見を示した。

仮動的実験のシステム図
(コンピュータによる数値計算と試験体の載荷実験を組み合わせる)

仮動的実験を実施中の様子
(左端の載荷された試験体で変位と荷重を計測し,その値に基づきコンピュータで数値計算を行う)

試験体の柱部分に使用したアルミニウム材の特性
(引張試験で得られた結果の例示で,青線が試験片の応力度-ひずみ度曲線,赤線が降伏強度を求める0.2%オフセットの直線)

研究担当の研究室学生4名
(左2名が仮動的チーム,右2名が減衰チーム.両脇2名がM1生で,中側2名が卒研生)