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建築とは「人に快適な空間を提供すること」と考えます。ここで言う「快適な空間」とは,単に風雨や寒暑を凌ぐためだけではなく,以下の3つの機能を持つことが必要です。

   機能①; 人の身体・精神に安静や刺激を与え,心身の健康に寄与する

   機能②; 人の生産活動を効率的なものにし,社会の発展に貢献する

   機能③; 人の生命および財産を災害や事故などの外力から保護する

 この3つの機能の優劣によって建築の性能および価値が評価されるべきであり,中でも,機能③が満足された上で初めて機能①②が成立することから,機能③を追求することが建築の発展のための最小限要件と言うことができます。

 そこで本研究室では,建築における「快適な空間」の一層の向上に貢献することを目標として,特に,人の生命および財産に関わる機能③に重点を置いて活動を行います。

 具体的には,我が国において最も危惧すべき自然災害である地震を対象とし,建物の耐震性能の評価と改善に関わる調査・研究を実施して,地震被害の軽減に貢献することを目指しています。


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中間層で崩壊した庁舎ビル(1995年阪神・淡路大震災)

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倒壊して傾いた建物(1995年阪神・淡路大震災)

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 耐震補強で甚大な被害を免れた校舎(2016年熊本地震)

 

 また,持続可能な社会の実現に向け,長崎市端島(通称,軍艦島)の居住施設群を調査し,建築物の長寿命化を目指した研究を進めています。軍艦島の過酷な自然環境の中で,様々な施設の劣化が確実に進行しており,歴史的に貴重な文化遺産を守るために,維持保全に向けた取り組みが必要です。

軍艦島の夕景

軍艦島(長崎市端島)の夕景 

 

3号棟から70号棟

軍艦島内の風景(左上が3号棟,中央が65号棟,右端が70号棟)

 軍艦島30号棟20211101

崩壊が危惧される軍艦島30号棟(2021年11月撮影)