『持続可能な建築・都市』


日本における公共的価値(公益権)の構築

 「財産権」に対する「公益権(公共的価値)」の確立への基礎研究の必要性日本の法制度において、これまで「財産権」だけが存在し、日照権といった物理的に人的影響を及ぼすもの以外の権利は存在しなかった。そのことが雑然とした日本の景観を形成しており、歴史的な建物を残すことができず、また都市計画での安全性を確保できない要因ともなっている。
 2004年の景観法の制定により、景観を重視されてきているが、国立市マンション紛争における景観訴訟をはじめ、「景観利益」は法律上保護に値する利益に当たるが、「公益的価値」は明確に保証されていない。
歴史的建造物が建築専門家の保存要望にも関わらず、何の抵抗もなく解体されている現状があるし、木造住宅密集地域では街区の安全性の問題が取りざたされている。
 こういった日本の現状に対して、フランスでは早くから公益性が確立しており、これまで研究対象としてきたフランスの都市開発整備の根幹をなしている。フランスの公益性の基本的概念の理解をするとともにその内容を紹介する。そして、公益性が実際の都市開発整備にどのように現れているかを考察する。

空間分析

空間の描写
光、素材、色、音楽・・・歴史・実体験の中に見る
空間の質化と価値
場所性と境界

都市における自然環境・景観

フランスの都市デザイン
 公共空間整備・・・公園、移動手段に関する整備(トラム、鉄道駅、駐車場)

内化された外部空間、あるいは外部化された内部空間
 内部化された空間は公的な領域から私的な領域へと変化する。アトリウムやパサージュは内部化された私的な領域を自由に活用できる公的な場であり、外部に近い性質を持っている。このように、建築によって屋内化された領域を自由に利用できる外部空間のように空間を扱うことが「逆空間化」であると定義する。

 8 世紀の建築家・測量士ジョバンニ・ノリによる白と黒だけで描かれたローマの地図は、都市空間における「地」と「図」の関係を表したもの。この地図では、建物を街路や広場を規定するポジティブな「図」として見た場合、教会や聖堂の内部が外部空間の延長部分のように見えてくる。教会や聖堂の内部が「街路」や「広場」「コートヤード」のようなパブリックなオープンスペースとして扱われている。つまり、都市のパブリックな場は街路や広場だけではなく、見方によっては建物内部がパブリックな場であることをこの地図は教えてくれる。

都市を構成する集合住宅
 外部空間(テラス)の都市景観にもたらす影響
 配置計画の考察(道路に沿って建つ、中庭型、新しい配置計画)

建築遺産・・・都市における時間的要素の継承
 フランスにおける建築遺産の改修・再生例
 日本における建築遺産の現状
 都市環境のなかでの位置づけ