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志手研究室
2025/10/04
[Awards] Kobayashi Hirochū received the Young Scientist Outstanding Presentation Award at the 40th Architectural Production Symposium of the Architectural Institute of Japan
2025年7月31日・8月1日に建築会館で行われた、第40回建築生産シンポジウムにおいて、修士2年の小林広周君が若手優秀発表賞を受賞しました。
【受賞者】小林広周(修士課程)
【指導教員】志手一哉教授(建築学科)
【学会名】日本建築学会 第40回建築生産シンポジウム
【賞名】若手優秀発表者
【発表題目】「DSMを活用したBIM設計施工フローの最適化とBEPの実有効性向上に関する研究」
【研究目的】
本研究は、建築プロジェクトにおけるBIM(Building Information Modeling)の活用が広がる中で、設計・施工の情報伝達や整合性確保に重要な役割を果たすBEP(BIM実行計画)の実効性を高めることを目的としています。特に、設計工程におけるタスク間の依存関係と手戻りの構造を可視化・最適化するために、DSM(Design Structure Matrix)を活用し、プロジェクトの前倒し計画(フロントローディング)を支援する新たなアプローチを提案しました。
【研究内容】
設計・施工プロセスにおいて発生する複雑な情報のやり取りや調整作業を整理・分析するため、約200項目に及ぶ設計タスクを対象にDSMを構築しました。DSMの解析により、手戻りが発生しやすいループ構造や、多職種間で調整が集中するタスク群(クラスター)を抽出しました。また、ネットワーク分析を併用することで、プロジェクト全体の中で情報のハブとなる重要タスク(媒介中心性が高いタスク)を明確にし、BIMの適用によって整合性確保やレビュー効率が向上する領域を特定しました。
これにより、BEPの策定においては形式的な計画から脱却し、設計フローの構造に基づいた目的設定や、前倒しでの合意形成を支援する判断ポイントの可視化といった、より実効性のあるBEP運用モデルの構築に貢献する成果を得ました。
【今後の展望】
今後は、DSMの分析結果を活用したレビュー計画やマイルストーン設定支援ツールの開発や、設計BIMモデルの情報の流れに対応したチェックリストの構築を進める予定です。また、設計者・施工者間のコミュニケーションを支援するBEPテンプレートの高度化に向けて、国内外の事例との比較や、ソフトウェアへの実装検討も視野に入れています。