岡崎研究室

2026/03/14

Award/ ICOMOS Japan Young Resaercher Award, Japan ICOMOS Encouragement Award 2025

日本イコモス奨励賞2025受賞しました。

受賞題名: デジタルドキュメンテーションを通じたエチオピアと日本の文化遺産保存活用技術交流の促進

授賞理由:  岡崎瑠美氏は建築史を専門とし、20年以上にわたりエチオピアを中心としたアフリカ各地で研究に従事してきた。その研究活動の特徴は、三次元デジタルドキュメンテーションを活用した建築遺産の記録・分析手法の開発と確立にある。デジタル・ヘリテージ分野における氏の業績は目覚ましく、ICOMOSの国際科学委員会であるCIPA Heritage Documentation等へ積極的に参加し、最新動向を踏まえた研究展開とともに、国際的な研究ネットワークを構築してきた。近年はアフリカ諸都市へも対象を広げ、アフリカ型都市建築の保存手法の開発に着手している。さらにその射程は、日本の大都市中心部や人口減少が進む地方都市へも広がり、多様な地域での調査・記録を通じて、現代都市における保存と再生の調和を実践的に追求している。 岡崎氏の研究視座の強みは、地域住民の生活環境を建築遺産と不可分な保護対象として見据えている点にある。これはボトムアップ型の保存・活用モデルの構築を目的としたものであり、持続可能な社会の実現を目指す、いわば社会的包摂を重視した文化遺産マネジメントの新たな方向性を示すものとして高く評価できる。また、科学技術振興機構(JST)のさくらサイエンスプログラムを通じたエチオピアと日本の建築学生の相互交流事業など、若手研究者の育成と国際交流においても顕著な成果を挙げている。 デジタル・ヘリテージは最新技術を用いた現代的な技法であり、学問領域や社会への具体的なインパクトの確定にはなお時間を要する側面もある。しかし、連携が困難な諸国との協働や、歴史的建造物の保護に留まらない現地教育への注力といった一連の活動は、建築史、社会史、文化遺産論などの分野を横断して将来に参照されるべき質を備えている。以上のように、岡崎氏はデジタル・ヘリテージ分野の第一線で活躍すると同時に、人材育成や地域協働にも配慮した実践を積み重ねており、今後のさらなる貢献が期待される。よって、日本イコモス国内委員会は、岡崎瑠美氏の「デジタルドキュメンテーションを通じたエチオピアと日本の文化遺産保存活用技術交流の促進」の業績を高く評価し、「日本イコモス奨励賞2025」を授与する。