見学 小柏研究室
2025/02/23
Awa Kokubunji Garden (Tokushima City, Tokushima Prefecture, a nationally designated place of scenic beauty)
文責:新村恵太(修士1年)
西側に本堂が位置し、本堂の前面に多数の石組が広がる枯山水庭園が眺望の中心であるが、本堂の周囲にも石組が設けられており、庭園一帯に石組が設けられた庭園である。阿波の青石の巨石を多用した点が特徴的であり、庭園研究者である重森三玲氏が絶賛した場所でもある。
庭園内にある本堂は、建立が文政9年(1829)で、桃山~江戸時代に作庭といわれている庭園よりも後の建立である。構造形式は、桁行三間、梁間三間、一重、裳階付き、入母屋造、本瓦葺で、仏堂には珍しい妻入りである。平面は、正面側一間を拝所、奥二間を外陣とし、一間四方の内陣を突き出すように設けた、珍しい平面である。また、拝所に対して外陣が高くなっている点も特徴的である。
・所見
庭園の石組や本堂の基壇、礎石などに阿波の青石が多用されており、材料の地域性を見ることができた。阿波の青石は層状に割れやすいため、視点場に対して広い面を見せていうが、違う方向から見ることで薄い面に変化し、庭園の印象が変わる点も興味深かった。
本堂の東側に庭園の中心となる枯山水が広がるが、本堂の西側にも巨大な石組があり、本堂両側面の扉を開けることによって、扉枠越しにこの石組がみられる。この眺望は、本堂の外陣の床レベルを拝所に比べて高くし、また外陣を広くしたことによって実現できており、本堂が庭園に合わせた計画であることが理解できた。
写真ではよく見ていた庭園であったが、写真以上の石組の迫力や青石の色の違いなどがあり、現地で見ることができて良かった。
参考文献
・文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/218169 (2025.2.20閲覧)
・空間文化開発機構『名勝阿波国分寺庭園保存整備事業:本堂 (瑠璃殿) 修理工事:報告書』(國分寺,2020.12)