見学 小柏研究室

2024/08/27

Visit Amebiki Rakuhoji Temple (Sakuragawa City, Ibaraki Prefecture Designated Important Cultural Property)

文責:岩崎佑亮(修士1年)

 

概要

 

本堂(県指定重要文化財)

建立:建長6年(1254)

構造形式:方五間 入母屋造 向拝付 四周に高欄付き

真言宗豊山派に属し、坂東三十三所巡礼の二十四番札所に指定されている。本堂は、桁行・梁間ともに5間の正方形の平面を持ち、前面の梁間2間を外陣、奥の3間を内陣とする、密教特有の本堂構造を採用している。

外陣の構造は、大虹梁に大瓶束と海老虹梁が用いられており、天井部分は内陣に近い部分に鏡天井が施され、他の三方は化粧屋根裏となっている。また本堂の彫刻は、日光東照宮の彫刻を手掛けた無関堂円哲によるものである。今回は見ることができなかったが内陣には、袈裟形の須弥壇があり、高い意匠性を有している。

 

仁王門(県指定重要文化財)

建立:建長6年(1254)

構造形式:三間一戸 入母屋造 本瓦葺

二階建ての構造で、上層に縁が張り出し、高欄が巡らされた楼門形式を取っており、下層の正面両側には仁王像が安置されている。柱はすべて丸柱で、柱脚部分には粽が施され、基部には礎盤が設置されている。

軒下の組物や高欄の腰組には三手先斗栱が使用されている。また、壁面には通肘木が二段に渡って配置され、その間に斗が並んでいることが、装飾的に目立っていた。

中央の入口にある鏡天井には、竜と天女の絵が描かれており、徳善の署名が確認できる。斗栱には繧繝彩色が施されており、彩色の華やかさが一層引き立っている。

 

多宝塔(県指定重要文化財)

建立:嘉永6年(1853)

構造形式:方三間 多宝塔形式 銅板葺

楽法寺境内にある多くの歴史的建造物の中でも、特に目を引くのがこの多宝塔である。棟札も1枚確認されている。下層の屋根には白漆喰で作られた亀腹が施され、上層は円形、下層は正方形の平面を持つ、典型的な多宝塔の形式である。下層の組物は三手先斗栱が採用され、二手先目には尾垂木が配されている。軒下には小組格天井が設置されている。上層も同様の組物が用いられ、垂木の構造は、上層が扇垂木、下層が平行垂木である。相輪は露盤から宝珠まで鋳鉄で作られている。関東地方では多宝塔の数が比較的少ないが、この塔はその規模においても有数のものである。

 

 

参考文献

・つくば新聞 http://www.tsukubapress.com/index.html(閲覧日2024.8.24)