見学 小柏研究室
2024/07/20
小山寺三重塔(茨城県桜川市・重要文化財)見学
文責:吉川駿平(学部4年)
概要
建立:寛正6年(1465)
大工:宗阿弥家吉
構造形式:三間三重塔婆、とち葺
所在:茨城県桜川市富谷2190
歴史
小山寺は735年、聖武天皇の命令で行基を開祖に創立された天台宗寺院。三重塔は1465年に宗阿弥家吉とその息子によって建てられたものである。関東より北で、室町時代にさかのぼる塔は小山寺三重塔と栃木県に位置する西明寺三重塔の2棟だけであり、1906年4月に重要文化財に指定された。
所見
室町時代の三重塔の建築様式は和様を基本として、細部に禅宗様を交えている。初層は中央間桟唐戸で脇間は菱格子窓。中備えは中央間のみ蟇股で脇間は蓑束間斗束、高欄は逆蓮弁高欄であることが見て取れる。二・三層は縁を平三斗で支え、初層同様、斗栱は三手先組物、尾垂木で支えられていることが分かる。
西明寺と比較してみると、まず葺き材が銅板葺であることが挙げられる。また、縁には高欄がなく、中央間は桟唐戸であるが、脇間は連子窓である。各層の屋根軒部分は小山寺と比べると反りが大きい。
このように、同じ三重塔でも創建年代や作り手などによって細部意匠は異なる。今回の調査では開門時間を過ぎてしまい、塔自体を見学することはできなかった。今後訪れた際、記事をつくるにあたって調べたことを現地で確認したいと考えている。
参考文献
・桜川市教育委員会 https://www.city.sakuragawa.lg.jp/
・文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/