見学 小柏研究室

2026/04/05

大善寺(山梨県甲州市・国宝)見学

文責:新村恵太(修士2年)

 

大善寺本堂(国宝)

建立:鎌倉後期 弘安9年(1286)

構造形式:桁行五間、梁間五間、一重、寄棟造、檜皮葺

重文指定年月日:1907年8月28日

国宝指定年月日:1955年6月22日

 

 

平面は、正面側二間を外陣、中央二間を内陣、その左右を脇陣、背面一間を後陣とし、内外陣境を格子戸と菱格子欄間で区切る典型的な密教系本堂の形態をとる。柱は直径1尺8寸の総丸柱で、縁を四周に回す。

 

外陣、内陣ともに、虹梁を架けて中央の柱を2本抜く。外陣の虹梁は、入側柱上組物の枠肘木から内外陣境柱の柱頭と大斗の間に架け、柱頭の高さに袖切を付ける。内陣の虹梁は、内外陣境柱上の大斗から背面の側柱上の大斗に架ける。

 

入側柱上の組物は、実肘木、支輪付きの二手先であるが、処理をしなければ内部が高くなりすぎてしまうため、中世本堂としては類例が少ない。大善寺本堂では、外部から見える化粧垂木とは縁を切って、内部は出組の高さに意匠用の別の化粧垂木を入れる。これによって、外部からは軒の高い屋根を作りつつ、内部では化粧屋根裏を見せることを可能にしている。

 

内外陣境柱上と背面側柱上の組物は、一段目は大斗の上に虹梁、二段目は枠肘木、三段目は出組状にして天井桁を受ける。

内外陣ともに虹梁中央には、大斗の代わりに花肘木状の枠肘木の上に巻斗、もう一段拳鼻付きの枠肘木と巻斗を載せて天井桁を受ける。

天井は、入側を化粧屋根裏、外陣の奥一間を鏡天井、内陣は竿縁天井とする。

 

横架材は頭貫と切目長押以外には、正面と側面一間分のみに内法長押を回し、それ以外には飛貫などを用いない古式な構造を持つ。一方で、頭貫木鼻や虹梁鼻、拳鼻には、大仏様の意匠が見られ、意匠面でのみ鎌倉時代らしい様相が見られる。

 

彩色は、内外陣境柱とその上の組物は朱漆、外陣隅の側柱に立体的な文様、内陣背面の柱は金箔押としている。

 

外観は組物が二手先であったことで屋根が大きく見えたため、図面や写真で見るよりも迫力があった。一方、中世本堂に多い化粧屋根裏とするため、外部とは異なる意匠用の化粧垂木を用いることで美しい内部空間が広がっていた。横架材の使い方や、天井など、全体として古式な印象を受けたが、細部意匠には大仏様が用いられることもあり、鎌倉時代らしい建築を見ることができた。

 

 

 

 

 

参考文献

・文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/174122 (2026.3.13閲覧)

・太田博太郎『日本建築史基礎資料集成七 仏堂Ⅳ』(中央公論美術出版,1975)