見学 小柏研究室

2026/04/05

上条伝建地区・金井加里神社(山梨県甲州市・重要伝統的建造物群保存地区および県指定文化財)見学

文責:岩崎佑亮(修士2年)

 

甲州市塩山下小田原上条伝統的建造物群保存地区・金井加里神社本殿

所在地:山梨県甲州市塩山下小田原上条
文化財指定:
・甲州市塩山下小田原上条=重要伝統的建造物群保存地区
・金井加里神社本殿 付棟札1枚=山梨県指定有形文化財(建造物)
指定年月日:
・上条地区=2015年7月8日
・金井加里神社本殿=1964年6月25日

 

甲州市塩山下小田原上条は、甲府盆地を南に望む山麓斜面に形成された山村集落であり、江戸時代には畑作を中心とし、明治時代中期以降は養蚕の発展に対応して独特の集落景観を形成した地区である。保存地区は東西約320m、南北約860m、面積約15.1haの範囲をもち、丘陵地の尾根伝いの旧道と、そこから分かれる里道に沿って民家が配置される。観音堂、金井加里神社、福蔵院などが丘陵地側に点在し、民家・畑地・社寺・地形が一体となって歴史的景観を構成している点に大きな特徴がある。

上条集落の主屋は、等高線に沿って造成された敷地の中ほどに建てられ、切妻造茅葺の平屋建を基本とする。さらに、養蚕が主産業であったことを示す建築的特徴が多く見られ、主屋は屋根裏利用のために屋根前面中央部を切り上げた突上げ屋根が設けられていた。伝統的建築の現状使用に加え、カフェとしての活用など、歴史的遺構が今日の生活や地域活動の中に取り込まれている様子を見ることができた。

 

 

【写真2】

 

金井加里神社は丘陵地中央付近に位置し、上条の社寺景観を構成する要素となっている。本殿は大永3年(1523)建立と伝えられるが、現存社殿は棟札により寛文8年(1668)の再建とされる。形式は三間社入母屋造、正面に千鳥破風と向拝一間であり、この点にまず本殿の特徴がある。一般的な流造・春日造とは異なり、入母屋屋根の正面中央に千鳥破風を設け、その下に向拝を付加する構成は、近世的で装飾化された社殿意匠を感じられた。

 

【写真3】

 

 

 

参考文献
文化庁「国指定文化財等データベース 甲州市塩山下小田原上条」(2026年3月12日閲覧)
文化庁「新規選定 養蚕の隆盛をいまに伝える山村集落 甲州市塩山下小田原上条伝統的建造物群保存地区」(2026年3月12日閲覧)
山梨県「山梨の文化財ガイド 金井加里神社本殿 付棟札1枚」(2026年3月12日閲覧)