見学 小柏研究室
2024/06/01
不動院岩屋堂(鳥取県八頭部・国指定重要文化財)見学
文責:胡 鐘毓(修士一年)
概要
不動院岩屋堂(鳥取県八頭部 国重要文化財)
所在:鳥取県八頭郡若桜町岩屋堂
建立:具体的な建立年代は不明だが、様式手法から見れば南北朝の建立と考えられる。
構造形式:桁行三間、梁間三間。一重、入母屋造。背面切妻造。妻入。とち葺。舞台造。
歴史:弘仁10年(819年)に「神光」という修行僧が信徒と共に七堂伽藍を建立し、妙見山神光寺と称した。天正9年(1581年)羽柴秀吉鳥取城攻略に際し、兵火によって焼失し、岩屋堂のみが残った。昭和28年(1953年)に国の重要文化財に指定され、昭和30年(1955年)から32年(1957年)におけて解体修理が行われた。
所見
桁行三間、梁間三間。一重、屋根正面入母屋造、とち葺。制限があるため、背面の切妻造は観察出来なかった。軸組正面通り柱間外側に飛貫、内法長押。正面両脇間花燈窓をもち、正面と東側には擬宝珠高欄付の縁廻があり、修験道の盛んなこの時期密教系の一院として建立された建物と考えられる。柱の角を取り落とすことや舟肘木の様子から南北朝時代の建立と推定される。
床下部分について、桁行方向東から2本目と4本目の舞台束のみが、上部に梁間方向の貫がある。また、舞台束に明らかな色の変化が見られ、下部が白く見えている。岩屋堂は昭和30年から32年にかけて解体修理されたことを考えると、その際、腐朽した舞台柱の下部を補強し、同時に元の部材を部分的に残すため、高根継ぎの工法を使用したと推測される。
参考文献
不動院岩屋堂修理委員会編『重要文化財不動院岩屋堂修理工事報告書』重要文化財不動院岩屋堂修理委員会, 1957.