見学 小柏研究室
2026/08/10
旧公衆衛生院(東京都港区・区指定有形文化財(建造物))見学
文責:田邊結菜(学部4年)
所在:東京都港区白金台4-6-2
概要
地下1階、地上6階、塔屋4階、延床面積約15,000㎡におよぶ本建造物は、米国ロックフェラー財団からの資金援助を受け、昭和13(1938)年10月に内田祥三の設計、大倉土木の施工により公衆衛生院として竣工した。現在は港区指定有形文化財に指定されており、港区立郷土歴史館を中心とした複合施設として活用されている。
外観には「内田ゴシック」と呼ばれる独自の意匠が採用されており、垂直に伸びた中央棟と左右の翼状棟による左右対称の威厳ある姿や、入口の5連アーチが特徴的である。内部には、大窓とまわり階段、金属製レリーフで構成された2・3階吹き抜けの中央ホールをはじめ、木質材が多用された3階の院長室、340席を有する講堂、図書閲覧室や書架などが建設当初の姿のまま保持されている。細部の意匠に至るまで当時の様子を色濃く伝えており、同時代における優れた近代建築として非常に高い価値を有している。
所見
見学したなかで最も印象的だったのは、正面玄関を入ってすぐに広がる中央ホールである。このホールは、2階へ続く左右対称の大階段と上部の円形吹き抜けによって、立体感のあるダイナミックな空間が作り出されている。手すりや腰壁には人造大理石がふんだんに用いられ、手すり壁にあしらわれた幾何学模様の透かし彫りやクラシカルな照明器具など、細部にわたって当時の技術が光っていた。また、建築家・内田祥三による「内田ゴシック」の重厚感と、モダンな意匠が融合している点も特徴的であった。このように、かつての世界最高峰レベルの予防医学研究機関としての品格を保ちながらも、現代において丁寧に修復され、地域にひらかれた施設として活用されている点が非常に素晴らしく感じられた。
参考文献
旧公衆衛生院 - 港区文化財総合目録 | 港区立郷土歴史館
https://www.minato-rekishi.com/museum/2019/09/R01-01.html