見学 小柏研究室

2025/02/23

豊楽寺薬師堂(高知県長岡郡・国宝)

文責:楊 暢(学部4年)

 

概要

建立:仁平元年(1151)頃

構造形式:桁行五間、梁間五間、一重、入母屋造、柿葺

 

 

 

 

豊楽寺薬師堂は、四国地方に現存する最古の建造物であり、平安時代末期の仁平元年(1151)頃に建てられた国宝指定の仏堂である。仏堂は阿弥陀堂の形式であり、平面構成は内陣と外陣に分かれている。外陣が正面一間半通り、内陣は外陣の後寄りに桁行三間、梁間三間の規模で配置されている。須弥壇は内陣の背面壁に接するように設けられ、仏像を安置する。

 仏堂の四周には廻り縁がめぐらされ、正面には一間の向拝が設けられている。この向拝は江戸時代に附加されたものが明らかであり、方柱が用いられる。入側柱は円柱に舟肘木を置く。軒回りは地垂木だけを配する一軒疎垂木を採用している。また、柱間装置として正面中央の三間に唐戸を吊り込み、両端には連子窓を設置する。内陣の天井は棹縁天井となっており、この種の天井の最も古いものの一つと言われている。

 屋根は緩やかな勾配を持ち、軒の曲線が美しい。豊楽寺薬師堂の外観は、素朴な素木造りでありながら、全体として荘重な印象を与え、藤原時代後期の優美さと落ち着きを巧みに体現している貴重な建築遺構である。

 

所見

豊楽寺薬師堂は、内陣を後退させることで礼拝部(外陣)が広く確保され、独特な平面計画を持つ点が特徴的である。また、外陣の化粧屋根裏が二重となっており、側柱に繋虹梁を架け渡し、梁上に束を立てて出桁を受けるという、非常に珍しい構造が採用されている。さらに、柱が太く、全体的な木割が雄大な点が特に印象的であった。

 

 

 

参考文献:

・豊楽寺薬師堂ホームページ https://www.burakuji.jp/ (閲覧日2025/02/22)

・文化遺産オンラインhttps://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/157985 (閲覧日2025/02/22)