プロジェクトゼミ: Majority/Minority Flip 建築計画研究室3年生

課題概要:ユニバーサルカフェをデザインする

1980年代にロナルド・メイスらが提唱したユニバーサルデザイン(年齢や能力、状況などにかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすいように、製品や建物・環境をデザインする)の考え方は、広く世界中に受け入れられてきた。一方で、現在の社会では「サービスを提供される側」においてのみ浸透することで満足しているようにも見受けられる。本当の意味でのあらゆるユーザーの不利益の撤廃は、「サービスを提供する側」にもユニバーサルデザインを適用することである。

そこで本課題では誰もが参加できる社会環境のあり方を模索することをねらいとし、その一例として、車いすユーザー/視覚障碍者 と一緒に働きやすい、カフェを設計する。登場する各人の立場になって、空間の使い方を細部までよく想像し、検討を重ねること。設計はグループで行うものとし、家具什器やロゴのデザイン、必要に応じて配色計画まで行う。

 

見学実習:分身ロボットカフェの訪問(2022/10/4)

吉藤オリィ氏らが運営する「DAWN CAFE」を訪問。難病を患っているなど、外出困難者である従業員の方たち(パイロット)が分身ロボット「OriHime」を遠隔操作してサービスを提供している、新しい形のカフェである。運営スタイル、企画、レイアウト、インテリア、コミュニケーションのとり方などを、現地にて体験して学んだ。

 

特別講義:視覚障碍に関する建築計画(2022/10/11)

東京大学の松田雄二先生にお越しいただき、視覚障碍者のための建築計画についてのお話をお聞きした。視覚障碍を持つ方々が何を手掛かりに空間の把握を行っているのか、どのような空間が利用しやすいのかを、数々の動画や白杖を使いながら教えていただいた。

 

体験実習:車いす/視覚障碍をともなう行為・行動体験(2022/10/18)

本プロジェクトの最終ゴールである①車椅子ユーザーが働きやすい、②視覚障碍者が働きやすい、カフェのデザインのために、2グループに分かれて体験実習を行った。体験するプログラム自体も、学生自身が計画・作成した。

カフェで働くにあたり必要となる行為や行動について、自分たちで体験し、さらに使いやすい空間についての実験、確認を行った。
また体験を生じて浮上した様々な疑問について、実際の車いす利用者である研究室先輩からアドバイスをもらった。

◆ Aグループ:視覚障碍体験実習の一例

◆ Bグループ:車いす体験実習の一例

中間発表:各グループの設計状況報告(2022/11/15実施)

ここまでの体験実習から、視覚障碍のある人が働きやすいカフェを設計するA班は「洩れ入る外光を活用したRay-Finding」、車いすユーザーが働きやすいカフェを設計するB班は「車いすでも芝生を身近に感じられるサテライト型個室」というコンセプトを設定した。

 

 

模擬カフェ:設計中のカフェのモックアップと検証(2022/11/26実施)

自分たちの設計が利用者にとって実際に使いやすい動線や寸法になっているかどうか、大学のラウンジを使用して部分的なモックアップを行い、検証した。

A班はパンチングメタルの穴の大きさと光の入り方、カウンターから飲食物を提供する際の作業のしやすさを確認した。

B班はカウンターまわりの動線と作業寸法、自分たちでデザインした個室テーブルの使用感を確認した。

 

最終発表:各グループの最終成果物発表(2022/12/20、2023/1/7実施)

12/20に研究室内、1/7に学年全体で、最終成果の発表講評会を実施した。
内容については、以下に最終講評のスライド動画を掲載する(音声なし、5:52)。

A班)視覚障碍のある人が働きやすいカフェ Touch "The You"


B班)車いすユーザーが働きやすいカフェ FLAT