見学 小柏研究室

2025/02/23

Kagawa Prefectural Government Old Main Building and East Building (Takamatsu City, Kagawa Prefecture, National Important Cultural Property)

文責:新村恵太(修士1年)

 

設計:丹下健三(丹下健三研究室)

竣工:1958

旧本館:地上8階、塔屋3階付き 東館:地上3階

鉄筋コンクリート造

 

・概要

平成29年~令和元年にかけて、免震装置を建物の基礎下に設置するレトロフィット工法を採用した免震化工事が行われた。その後、令和4年に重要文化財に指定され、戦後の庁舎として初めて重要文化財に指定された。

旧本館は、中央コアに耐震壁や階段、エレベーター、設備を集中させ、周囲は壁を用いない構造としている。構造はラーメン構造で、柱間に薄い小梁を1.8m間隔で格子状に配置して床を支え、外周部にも延長してバルコニーを支持する。1階は階高6.9mの空間とし、北半分を展示室、南半分を県民室とする。床は御影石貼り、天井は梁型の現しである。中央コアの壁面には猪熊弦一郎の陶壁画が貼られている。2階から8階は事務室で、階高2.3m、天井は1階同様梁型現しで、四周にバルコニーを回し、コンクリートの手すりを付ける。

 

 

東館は、前面道路に接した敷地いっぱいの場所に配置される。旧本館と同様に6.9mの階高で広いピロティ空間となっていることで、前面道路の延長として、人々を誘い込む公共空間としての役割を持つ。

 

 

 

・所見

 庁舎としての役割を持ちつつも、公共空間として今も使われている点が印象的だった。旧本館の1階は、天井高を高くし、前面ガラス張りとすることで、人々を招き入れるような印象だった。東館1階は、接道する前面道路部を全面開放のピロティとしていることで、県庁の敷地が公共空間として機能させる大きな役割を持っていると感じた。

一方、庁舎の機能を持つ2~8階は、標準的な天井高となっており、人が集まる公共空間と庁舎空間の高さ操作が、ヒューマンスケールに基づいており非常に心地がよかった。

 

 

 

 

参考文献

文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/586816 (2025.2.20閲覧)

文化庁『月刊文化財 第700 号』(第一法規,2022.1)